退職後のお金の話
日本では60歳で定年を一応迎えることになっています。
しかし、老後にかかるお金について考えたことがある人は少ないのではないでしょうか?
60歳以降で普通に生活するために必要な金額は毎月約22万円と言われています。
そして、標準的な年金額は月額16万円になります。
つまり毎月6万円が不足になってしまいます。
そして、普通に生活するだけでなくて、ゆとりのある生活をしたい場合に必要な金額は毎月32万円と言われています。
すると、毎月16万円が不足になります。
普通に生活するだけでも毎月6万円分を今まで貯めてきた貯金などから切り崩していかなくてはならなくなります。
日本の平均寿命は男性で約81歳、女性で87歳なので、60歳退職後では男性21年間、女性27年間を過ごさないといけません。
- 男性 6万円×12ヶ月×21年=1512万円
- 女性 6万円×12ヶ月×27年=1944万円
を貯金から切り崩していかないといけません。
さらに気をつけないといけないのが、年金の受給開始時期が65歳に引き上げられたのでその分を再計算すると・・・
- 男性 2472万円
- 女性 2904万円
のお金が普通に生活するために必要になるのです。
さらに言っておくと、普通に生活するだけならいいのですが、そうはいかないことがいっぱい生活にはおきますよね?
車の買い替え、冠婚葬祭、介護費、自分の葬式代などなど、臨時でかかるお金が追加されるので、一般的に3000万円がかかると言われています。
退職金が狙われる理由
よく「悲劇!高齢者が詐欺で退職金を全て失う!」みたいなニュースを聞いたことがないでしょうか?
私はこのような悲劇が起きる理由は「お金の勉強をしてこなかった」ということが理由だと考えます。
それでは、実際に高齢者になった想定で、なぜ詐欺にあってしまうのか想像しましょう。
ある高齢者のお話
あなたは60歳を迎え、退職金2000万円をもらって「さぁ、これから老後のゆとりライフだ!」と思っていました。
しかし、65歳を迎えてやっと受給がきたと思ったら毎月16万円程度しかもらえません。
物価が高くなっているのか、毎月貯金を切り崩していく生活をしていくうちにだんだんと不安になっていきます。
「あとどのくらい生活できるんだろうか・・・?」
そこでやっと家計簿をつけてみて、愕然とします。
毎月25万円程度お金が出て行っていて、どんなに切り詰めても22万円を下回るのが難しい状態です。
つまり手元の2000万円ちょっとのお金は自分が80歳前後でなくなってしまいます。
さらにこれから老人ホームや介護費・自分の葬式代を計算したところ、どう考えてもあと1000万円近く足りなくなる計算になってしまいました。
心の中の焦燥感が募りに募っていきます。
そこで毎月の不足分を補うためにアルバイトを始めようかと考えます。
しかし、65歳以上を雇ってくれる会社は無く、炎天下の下での道路整備のアルバイトや、夜勤勤務の警備員程度しかありません。
体力的に難しいことを悟ります。
では自分で稼げる方法を考えますが、今まで会社からの仕事をこなすだけの生活をしてきたために、どのようにお金を稼ぐのかといったことがわからず、初めから挫折してしまいます。
そこでふっと思い出したのが「投資」という単語です。
いままで投資というのに触れたことすらなかったが、世の中には「お金でお金を生み出す方法」があることを小耳に挟んでいました。
そこで手元の2000万円をどうにか増やそうと、投資案件を探し始めます。
「どうにか生きるためにはお金を増やさないと」と頭の中は興奮状態です。
するとちょうどよく電話がかかってきます。
「〇〇不動産の××と申します。不動産投資をご提案させてもらっているのですが、毎月50万円の不労所得が得られる物件があるんですが、ご興味ありませんか?」
毎月50万円もあればかなり余裕で生活できる!と思い、その話にぐいぐいと食いついてしまいます。
その話を聞くと、高級マンションの複数エリアを共同購入して、それから得られる家賃収入を投資額ごとに分配していくというものでした。
「2000万円あれば毎月40万円が最低手に入るし、賃貸運営もオールフリーで任せることができる」と言われ、即決でお金を入金しました。
しかし、いつまでたっても証書がやってこないし、担当者の電話に何度かけても出てきません。
ここまで来て自分が詐欺にあったことに気づき、最終的に警察署に泣きつきに行くことになるのです。
悲劇の問題点は3つ
さて、かなり想像の膨らんだ話のように思うかもしれませんが、実際のところこのような「焦り」「儲けたい」と行った気持ちを詐欺師は狙っています。
この悲劇の問題点は3つあります。
- 老後に必要になるお金を考えてこなかった
- お金がお金を生む方法を知らない(投資を学んでない)
- お金の勉強の必要性に気づくのが遅すぎた
それぞれの問題点をクローズアップしていきましょう。
①老後に必要になるお金を考えてこなかった
これは老後だけに言える話ではないのですが、日本ではお金の教育が未熟どころか皆無なので、お金のことについてなあなあで過ごしています。
ですので、自分の今後にかかるお金について考えることに目を背けてしまいたくなってしまいます。
必要とはわかっていても、学んでこなかったのでどのように考えればいいか分からないですし、何から始めればいいのか分からないですからしょうがないです。
先ほどの想像の中の人は65歳になるまで家計簿すらつけたことがありません。
「自分がいくら毎月何に使っているのか」
「自分がいくら何からもらっているのか(もらえるのか)」
「数年先・数十年先にどんなお金がかかるのか」
これらのことを真剣に考えて行動している人は少ないです。
孫子でも言われています。
「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」
これを今回の話に置き換えると、
彼(=お金のこと、自分の今後の生活のこと)を知り、
己(=自分の現状)を知れば、
百戦(=数年・数十年先の人生)も殆うからず
ということです。
②お金がお金を生む方法を知らない(投資を学んでない)
お金を手に入れる方法には3つあります。
- 時間を提供して、お金を得る(アルバイト、正社員など)
- 能力を提供して、お金を得る(士業、自営業など)
- お金を提供して、お金を得る(投資家、トレーダーなど)
この3つの手段の中から高齢者が打てる手段は「お金を提供して、お金を得る」だけなのです。
時間を提供しようにも、若い労働力の方が扱いやすいので難しい。
能力を提供しようにも、会社の中の世界しか知らないので稼ぐ力を持っていない。
残った方法が「お金を提供して、お金を得る」だけなのです。
しかし、この「お金を提供して、お金を得る」は学ばずにできるほど簡単ではありません。
先ほどの想像の中に出てきた不動産投資の話ですが、まず「2000万円だけで毎月40万円」という言葉を聞いた時点で疑う気持ちにならない人は要注意です。投資の勉強をしていないのがバレます。
毎月40万円ということは年額480万円。
2000万円に対して480万円なので、年利24%です。
まず不動産投資でこの利率は異常です。
しかも運営にかかる諸経費も含ませているのだとしたら、その会社はどこで利益をとってるんだ?という話です。
このように「2000万円だけで毎月40万円」という言葉を聞いて違和感を感じるようになのは「投資の勉強」をしてきたからです。
「投資の勉強」と聞くと漠然としているように感じるかもしれませんが、今回の場合は
- 不動産投資の年利の相場を学んだことがあるか
- 不動産投資をするときにかかるお金の流れの勉強をしてきたか
- 不動産投資の詐欺話をいろいろ聞いてきて、対応策を学んできたか
などといったことになります。
このようなことを知らずに投資をするというのは無謀と言わざるをえません。
③お金の勉強の必要性に気づくのが遅すぎた
もし先ほど想像した人が55歳あたりでも家計簿をつけて自分の現状を把握できていたとしたら、働いていながら対策を打つことができました。
例えば
- 退職時期を60歳から65歳に引き上げる
- 60歳までの5年間で投資の勉強をして、不労所得を得る手段を選定しておく
- 不動産投資を自分でしてみる
- 株式を勉強しておいて、退職金を長生きさせる勉強をしていく
などなど打てる手段はいくらでもあります。
ポイントは「選択肢が多数ある状態でお金について考えることができたかどうか」です。
「無職の60歳」と「会社勤務の59歳」では打てる手段が後者の方が圧倒的に多いです。
たった1年の違いでも大きな違いを生み出すのです。
ですので、お金の大切さに気づいて行動に移すのになるべく早い方がいいです。
「まだそんな時期ではないから」という人は一生そのままなのです。
退職金を長生きさせる方法については以下のリンクをご覧ください。