お金のEQとは?
まずEQとは何かというと、
EQ=Emotional Intelligence Quotient(こころの知能指数)
の略で、IQに対して人間としてこころの豊かさなどを表したものです。
IQとは違い何か具体的な数字などでは表すことができないのですが、IQが一躍有名になってから「IQだけではその人を判断できない」ということが多くなり、IQに対して作られたものがEQです。
そして、「お金のEQ」とはお金への感情がどれだけ健康的かを示す指数です。
実はこのお金への感情が健康的でないと、どれだけ稼いだとしても満足できなかったり、お金との関係だけでなく人との関係にも亀裂を入れかねない重要なことなのです。
お金のEQ 4つの側面
「お金のEQ」には4つの側面があります。
ポイント
- 受け取ること
- 味わうこと
- 信頼すること
- 分かち合うこと
この4つの側面から、お金への感情を理解していきましょう。
お金のEQ①受け取ること
人はお金を受け取る時に感情が動きます。
例えば、ある人が1000万円をぽんっと出してきて、「君にあげるよ」と言ってきたとします。
するとあなたの中に色々な感情が出てきます
「えっ、なんで1000万円くれるの?」
「1000万円あれば良いところに住める!」
「犯罪の片棒を担がされるのでは?」
などなど色々な感情が出てくるかと思います。
このように「お金を受け取る時に感情が出てくる」ということを理解しておく必要があります。
では、ここでお金を「手に入れる」のと「受け取る」のとではどちらが楽なのか考えてみましょう。
「手に入れる」というのは率先して営業をかけたり、相手に売り込んだりしますので、かなり自分が能動的に動く必要があります。
対して「受け取る」というのは相手が好意で出してくれたお金を感謝して受け取ったり、顧客が新しいお客さんを紹介してもらって契約が完了したりすることなので、自分は受動的な立場をとることになります。
つまり、「受け取る」という方が「手に入れる」よりも楽です。
お金持ちは「受け取る」ことがとても上手にできます。
相手が好意で出してくれたお金をそのまま素直に受け取って、感謝の気持ちを持って対応します。
するとその対応が気持ち良いので、相手もさらに協力的な行動をしてくれるようになります。
「受け取る」を高める方法
まず自分がどれだけ「受け取っているか」を紙に書き出してみましょう。
直接的にあなたに物・お金・サービスをしてもらったことでなくても良いのです。
自分が気づかないうちに享受していることをアンテナを広げて考えてみましょう。
例えば、今あなたは日本に住んでいますが、公園の水道の水を自由に飲むことが可能ですよね?世界的に見て、安全な水を無料で飲めるのは全世界の6分の1程度です。この時点であなたは「受け取って」います。
ではもっとわかりやすくあなたが受け取っている給料に着目してみましょう。あなたは給料を「受け取って」いますが、そのお金のもともとの出処は、あなたが対応した顧客が支払ってくれたお金です。
もしかしたら、「自分の労力に対してもらっているお金が足りないよ!」と不平を漏らす人がいるかもしれません。その気持ちもよくわかるのですが、ここでは一旦脇に置いておいて考えて欲しいのです。
想像してください、あなたが一人だったらそのお金は本当に手に入れることができたのか。
会社という枠組みがあるからそのお客さんはお金を払っている場合、会社のみんながいることによって自分の給料が入ってきている、受け取っているということを認識して、感謝しましょう。
さらに想像してください。
あなたが貧困の激しい国に住んでいたらそのお金は手に入れることができただろうか?
日本という治安の良い国に住んで、仕事をすることができる環境にあって、安全な家で娯楽を享受できる。
考えただけでお金だけでなく多くのことを受け取っていることが分かりますね。
お金と健康的な関係を築くために第一歩は既に多くを受け取っていることを認識して、感謝することです。
気持ちよく「受け取る」ことの大切さ
さらにお金を「受け取る」ことを鍛える方法は「気持ちよく受け取る」ということを意識しましょう。
例えば、あなたが親友に何かプレゼントをしたとします。
プライベートでも仕事でもお世話になりっぱなしで、とても感謝しているのでその気持ちを表すためにプレゼントをしました。
しかし、その親友が受け取った時に一瞬ですが顔が引きつったように感じましたが、「ありがとう」という言葉とともに受け取ってもらえました。
あなたはどのように感じましたか?
感謝の気持ちでプレゼントしたのですが、受け取ってもらったのになぜか釈然としない感情が出てきたのではないでしょうか?
プレゼントを受け取った瞬間、その親友は

と思っていたとしたら、お互いに感情が釈然としなくてお互いのためにならないですよね?
では、もしプレゼントをあげた時に親友が

と素直に感謝して、受け取ってくれたらどう感じるでしょうか?
多分

などと良い気持ちでプレゼントをあげることができるのではないでしょうか?
このように「受け取る」ということを素直に感謝して受け取ることで、相手も心地よく与えることができることを理解しましょう。
気持ちよくあげることができるなら、また次もあげたくなるのが人情です。
受け取ることが相手に喜びをプレゼントしていることになるのです。
お金のEQ②味わうこと
お金のEQの2つ目は「味わう」ことです。
先ほどの「受け取る」ことでも触れましたが、上手に「受け取る」ことができる人は、上手に「味わう」ことができる人です。
例えば、顧客から新しいお客さんを紹介してもらった時に、


と2通りの気持ちで新しいお客さんに面談をしたとします。
さて、どちらの方がより契約を得ることが可能でしょうか?
多分前者でしょう。
人の感情というのは表情にも雰囲気にも出てくるので、あった時に好意的な表情と緊張的な表情では相手が受け取る感情も随分違うものになります。
前者は紹介してもらったことに対してしっかりと感謝し味わっているのに対して、
後者は受け取っていることをそっちのけで自分の評価がどうなるかばかり考えています。
同じものを受け取ったとしても、受け取ったものの意味、今回の場合は「あなたの人間性を信頼してあなたに新しいお客さんを託してくれた」という事実をしっかりと認識して、ありがたいことだと感謝できるかどうかで、今後の話が変わってきます。
もしかしたら、新しいお客さんがさらにお客さんを呼ぶようになって、いい循環が生まれる可能性だって十分にあるのです。
「味わう」を高める方法
先ほども説明したように、「受け取った」ことに対して「味わう」ことができているかが大事です。
そこでもっとも簡単な方法は「喜ぶ沸点を意識して下げる」という方法です。
何かをもらった時に素直に喜ぶことができる人のところに、人やチャンスが舞い込んできます。
なぜなら人は自分を喜ばすだけではなく、好きな人に喜んでもらうことをしたいとも思う生物だからです。
なので簡単なことでも素直に喜んでくれる人にどんどん喜んでもらえるようなことをしたくなってしまうのです。
「笑う門には福来る」という言葉が私は好きなのですが、ある意味これも何かアクションがあった時に笑ってくれる人・喜んでくれる人のところには福がくるということの現れなのです。
お金のEQ③信頼すること
お金のEQの3つ目は「信頼すること」です。
これは本当に難しい感情です。ある種の狂信にも似た確固たる強い確信を持つ必要があります。
その確信とは「自分は豊かであること、成功できること」を確信できている状態です。
この確信は根拠なんてなくてもいいのです、どんなに辛い状況にあったとしても確信を持って自分の成功を疑わない心が大切になります。
この自分が成功できるという確信が持てないのだとしたら、自分に対して肯定(自己肯定感)ができていな可能性が高いのです。
この自己肯定感は幼少の頃に形成されるといいます。
親から愛情を注がれ、自分を他人から認めてもらい、かつ自分自身を認めてあげられた人は自己肯定感がとても高くなりますが、そうでなかった人の場合、自分に自信がなく、何をやってもダメなんじゃないかという気持ちが大きくなってしまいます。
ほぼ心理カウンセリングの領域になるのですが、その自分の中の無価値観・貧困意識・恐れと言ったことと向き合い、それがどうして形成されたのかを遡って癒してあげる必要があるのです。
「信頼する」を高める方法
先ほども言ったように「信頼すること」は一朝一夕で解決するものではありません。
自分の中の無価値観と対面しないといけないので、苦しいですし目を背けたくなるものです。
そこでまず最初にできる方法として、「自分にかかったバイアス(思い込み)に向き合ってみる」という方法があります。
やり方は簡単です。自分に「お金とは何か」と言った質問をして、紙に書き出してみましょう。
次にあなたの父親・母親・兄弟(姉妹)・祖父・祖母の「お金の価値観」を書き出しましょう。書き出す項目は
- どんなお金の使い方をしていたか?
- それを見ていてあなたはどう思ったか?
- その人にはどんなお金のバイアスがかかっていたとあなたは思いますか?
以上の質問をそれぞれの人を思い出して書き出して見ましょう。
これをすることでお金に関する価値観というものが家族・近しい人から受け継いだものだということがわかるでしょう。
母親の口癖が「お金がない!」だったので、自分の価値観が「自分は貧しいんだ」と無意識になってしまったり、父親がギャンブラー体質だったので、「安定した生活が一番いいんだ!」と考え、「お金は安定のためにある」という価値観になったりします。
その価値観が良い悪いではなく、そのバイアス(思い込み)は自分だけで作り上げたものではなく、家族からきている可能性が高いことを知ること。
そして、その価値観が今の自分にとってよろしくないのであれば、どんな価値観を手に入れたいのかアンテナを張る必要があるのです。
お金のEQ④分かち合うこと
お金のEQの4つ目は「分かち合うこと」です。
よくこんな話を聞いたことがないでしょうか?
「お金持ちは収入の10%を寄付している」
これは世界のお金持ちが財団などを作り、自分の資産を多くの人と分かち合っていることを報道したもので、よく例に出されるのがロックフェラーが若い頃から収入の10%を寄付に回していたと言った話ですね。
実際に寄付してみて気づいたこと
私自身も収入の10%を孤児院に寄付をし続けているのですが、最初は「金持ちがやってるんだから、やってみるか」程度のものでした。
寄付をするとやはり感情が動きます。私自身も最初は「うわー手放したくない〜」と思いながら孤児院に寄付をしていました。
今思うと全くダメな感情ですね笑
しかし、最近は寄付する行為をごく当たり前に行えるようになってきました。
きっかけは1年間寄付をし続け、家計簿で確認してみた時です。

と感じたのです。
つまり「寄付をしても自分は生活できていて、かつ豊かになっている」ということを認識できたんです。
この気づきはとても大きいものでした。
お金持ちが寄付する理由
実際に寄付してみて、「寄付をする」から「お金持ち・豊かになる」のではないんです。
「自分は豊かで、寄付をするくらい余裕のある人物」であることを確認するための作業なんです。
お金持ちは寄付をすることで
「自分は豊かで、余裕があるから寄付できる」
ということを無意識にどんどん刷り込んでいるのです。
寄付はそのための確認作業なのです。
よくこの話をすると

という人がいるのですが、この思考はやめたほうが良いです。
この言葉の裏を読むことができれば一目瞭然です。
「お金持ちになったら寄付する」ということは
「今私は貧乏なので寄付できません」ということを無意識に刷り込んでいる状態だからです。
そのようなことを無意識に刷り込んで行って成功しようとするのはとても力のいることです。
無意識の力を借りられるなら、全力で借りられるように行動するのが成功への近道です。
「金は天下の回り物」の本当の意味
また違う観点からも寄付の意味を考えてみましょう。
「金は天下の回り物」「自業自得」「情けは人のためならず」という慣用句がありますが、これらはとても性質が似ています。
多少スピリチュアルなように感じるかと思うのですが、「自分の行動は結局自分に帰ってくる」という原則に則っているからです。
「金は天下の回り物」というのはお金はぐるぐる回っていくものなので、ちゃんと使うことで帰ってくるという意味。
「自業自得」とは自分で行った悪いこと(業)は結局自分でに帰ってくるよという意味。
「情けは人のためならず」というのは人に情けをかける行為は「その人のために行動している」のではなく、結局は自分に帰ってくるのだから人に優しくしなさいという意味です。
このように「自分の行動は結局自分に跳ね返ってくる」ということを昔の人は理解していたのでしょう。
このことからも寄付というのは結局自分に帰ってくるのでしているのではないかと思います。
「ゲヘヘ、結局帰ってくるんだからいっぱい寄付するぜ」
という感謝の気持ちでない負の感情で寄付すれば、その感情が自分に帰ってくることは気をつけてくださいね笑
自分がもらったら嬉しい感情の気持ちで与えることが大事なんです。
これは「受け取る」「味わう」にも似たことが言えますね^^
「分かち合う」を高める方法
まず「分かち合う」という行動を1つしてみましょう。
どのような行動・感情でも構いません。行動を起こしてどのようなことが起きたかよく観察してみましょう。
会社の席が隣の人に、ねぎらう気持ちを持ってコーヒーをあげるでもいいです。
家族に感謝の気持ちを込めて、料理を振る舞うでもいいです。
とにかく「分かち合う」ことでどんな感情・行動・現象が起きるか試してみましょう。
そして、その起こった現象は自分が今まで周りに提供してきた行動・感情の反射だと認識しましょう。
同僚が「うわー嬉しいわー」と素直に感謝してきたら、あなたは周りにそのように行動しているということ。
同僚が怪訝な顔で「どうしたの?悩み事?」と心配してきたら、あなたは周りからそうなるように行動していたということ。
どんな結果になろうと、その現象を受け止めてください。
そして、自分はどんな反射を求めているのか考えてください。
そうすれば自ずとするべき行動が見えてきますよ^^
【まとめ】お金のEQを鍛える方法
最後のまとめですが、今ままで説明したことは明確な数字で現わせることではなく、感情という形のないものです。
しかし、この感情が世界を動かしているということを理解しましょう。
みんなが不安になれば株価が暴落し、どんな安定的企業の株でも下落します。
みんなが疑心暗鬼になればテロだって起きます。それは世界の経済損失となっているのにもかかわらずです。
人は理論的に正しいことだとしても、感情的に納得できないようなことが当たり前に起きます。
なのでお金に対する感情というのも理論だけではダメなのです。感情を経験しないといけないのです。
そこでお金の感情を鍛える方法をお教えします。
やり方はいたって簡単
お金に関わる状況になった時に、
相手や自分が
どんな言葉を使い、
どんな行動をし、
どんな表情をし、
どんな感情になっていたか
を観察して、分析しましょう。
「あっ、こんなことをすると自分はこんな気持ちになるのか!」
「お金の話になると、心が重たくなるのはなんでだろう?」
「投資の話をしたら、相手の眉間にシワが寄ったぞ?もしかしてバイアスがかかってるのかな?」
などなど、自分や相手の感情の動きを意識的に観察することで自分の感情の幅が広がっていきます。
すると同じような光景に出くわしたとしても
「あぁ、前にもこんな感情で失敗したな・・・」
と気づくことができれば、新しい行動を試してみればいいのです。