テクニカル分析で基礎中の基礎に「移動平均線」がありますが、今回説明するMACDはその移動平均線よりも実践的な指標の一つになります。
移動平均線をまだちゃんと理解できていない方は、以下のリンクをご覧ください。
MACDとは?
MACDは2本の移動平均線(MACDラインとシグナルライン)を用いることで、相場のトレンドや売買のタイミングを捉えることができる指標です。
MACDラインは「指数平滑移動平均」を元にして算出したラインです。(詳しい計算方法は覚えていても実際の取引ではあまり必要のないものなので今回は割愛します)
シグナルラインは「MACD値を単純平均」したラインです。
この2つを見比べると「頻繁に変化があるライン」がMACDラインで、「緩やかなカーブを描いているライン」がシグナルラインとなります。
MACDの特徴
MACD3つの特徴
- 移動平均線よりも実際の値動きに近い
- 1〜3ヶ月スパンの中期的な買い売りが分かる
- 比較的「ダマシ」の影響を受けづらい
特徴①:移動平均線よりも実際の値動きに近い
MACDは単純な移動平均線(25日移動平均線など)に比べると実際の値動きに近い動き方をします。
特にこの後に説明する2本線のクロスによる売買のシグナルも早い段階で示してくれるので、移動平均線のクロスよりも早くエントリーをすることが可能です。
特徴②:1〜3ヶ月スパンの中期的な買い売りが分かる
MACDは2本線のクロスなどでトレンドの転換点がわかりますが、そのクロスのスパンが短くて1ヶ月、通常3ヶ月前後で周期が見られます。
特徴③:比較的「ダマシ」の影響を受けづらい
そして、これも大きな特徴の一つですが、移動平均線のクロスでは「上昇トレンドのシグナルなのに株価が下がった!」と言った「ダマシ」が入ることがよくあります。
MACDでは比較的にダマシが少なく、根強い人気があります。
MACDの見方
MACDではMACDラインとシグナルラインの2本の線が「どの位置で」「どのように」クロスしているかでトレンドや転換点を掴んでいきます。
デッドクロス
MACDのグラフの0値の横線(0ラインと言う)よりも上で、MACDラインがシグナルラインを上から下へ突き抜けた時のクロスをデッドクロスと言います。
上昇局面だったトレンドが下降トレンドに変化する特徴の一つとみなすことができます。
基本的にはこのデッドクロスから下降していく可能性が高いため、売りポイントとして機能しています。
ゴールデンクロス
MACDの0ラインよりも下で、MACDラインがシグナルラインを下から上へ突き抜けた時のクロスをゴールデンクロスと言います。
下降局面だったトレンドが上昇トレンドに変化する特徴の一つとみなすことができます。
基本的にはこのゴールデンクロスから上昇していく可能性が高いため、買いポイントとして機能しています。
上昇局面に入った時の特徴
MACDラインとシグナルラインの傾きが上昇方向を向いていて、かつ0ラインを下から上に超えた時に「上昇局面になっている」と判断できます。
下降局面に入った時の特徴
MACDラインとシグナルラインの傾きが下降方向を向いていて、かつ0ラインを上から下に超えた時に「下降局面になっている」と判断できます。
ゴールデンクロス+上昇局面
0ラインよりも下で、MACDラインがシグナルラインを下から上へ突き抜け、ゴールデンクロスになった後、2本の線が0ラインを上に突き抜けていくと上昇への確度が上がります。
しかし、あくまでの後付けの理由付けにしかなりませんが、ゴールデンクロスで買いでエントリーし、その後0ラインを突き抜けたとしたら「OK!この調子で上昇していきそうだな!」と判断することができます。
デッドクロス+下降局面
0ラインよりも上で、MACDラインがシグナルラインを上から下へ突き抜け、デッドクロスになった後、2本の線が0ラインを下に突き抜けていくと下降への確度が上がります。

この場合でも後付けの理由付けにしかなりませんが、デッドクロスで売りでエントリーし、その後0ラインを突き抜けたとしたら「OK!この調子で下降していきそうだな!」と判断することができます。
MACDの弱点
MACDの弱点
- ボックス相場に弱い
- 利確ポイントが遅くなりやすい
- じり高・じり安の相場だと信頼性が低い
- 急激な変化に弱い
MACDはボックス相場においてはダマシのシグナルが多くなり、うまく機能しなくなる傾向があります。
ですので、MACDを使う場合はトレンドがちゃんと把握できる状態の時に使うようにしましょう。
ボックス相場にも似ていますが、ジリジリと上がっていく場面だったり、ジリジリ下がっていく場面の時もMACDはうまく機能しなくなります。
MACDは移動平均線を基本としているので、急激な株価の変動にも対応でいないのも注意点です。
また、MACDは売買の入り口と言う面ではとても優秀なのですが、「どこで利益を確定するのか」と言う出口の面では微妙になってしまいます。
「次のクロスで利確しよう〜」と思っていると、その時点で利益が縮小している場面が多いので、別の指標などで出口をしっかり意識する必要があります。
MACDを実際に見てみる
上図のようなチャートを見てもらうと分かるように、MACDは実際の株価に近い動きをしていきます。
①、②番を見ると、「デッドクロスからの下降局面」「ゴールデンクロスからの上昇局面」をしっかり示しています。
しかし、③番のようにデッドクロスになったかと思いきや上昇になってしまい、ジリジリ上がりによるMACDの機能不全かダマシが入っている可能性があります。
この場合でも損切りを入れていれば安全ですが、このようなことが起きることも理解しておく必要があります。
④番は若干下降が小さかったですが、デッドクロスの特徴が出ています。
このチャートからわかるように、移動平均線のクロスのタイミングとMACDのクロスのタイミングだと、MACDの方が早めに表示されるので、MACDが実際の値動きに近いことがよくわかります。
MACD上級編
MACDのダイバージェンス現象
基本的に株価が上昇すればMACDも上昇し、株価が下降すればMACDも下降します。
しかし、場合によってはそのような動きをしないことがあります。ダイバージェンス現象もその一つです。
ダイバージェンス現象は2つのゴールデンクロスの間で、「株価は下降(上昇)」しているのに「MACDは上昇(下降)」している時に起きやすくなります。
エントリーポイントとしては2つ目のゴールデンクロス時に買い(売り)をすることで大きく利益を取れる可能性があります。
MACDのヒストグラムは使いやすい
MACDラインとシグナルラインの差を棒グラフで表現した「MACDヒストグラム」は使いやすいのでオススメです。
クロスした時点でヒストグラムは0になります。また2本のラインの差の開き方が縮まってきていることが時系列で見ることができるので、「そろそろ勢いがなくなってきたかな?」と言ったことがわかってきます。