あなたが投資しようとしている株式というものがどういうものなのかを理解しておくことはとても大事です。
特に株主になることでどのようなメリット(権利)が生じ、どのようなデメリット(義務)を負うのかを理解しておかないと、いざ問題が起こった時にオロオロしてしまいます。
しっかりと株式会社と株主との関係を理解して、投資に臨みましょう!
株式の起源とは?
株式の起源は1602年インドの東インド会社が最初だと言われています。
当時の航海というのはあまりにもリスクの多い活動で、船の確保・船員の確保・食料や保険などなど1回の航海にかかる費用はとても莫大なものでした。
そこで東インド会社はインドへの航海への出資を資産家達に呼びかけ、無事に帰ってきた暁にはインドの特産品の提供や利益の分配などのメリットを提供する約束を証明書を発行して行いました。
これが株式の元となりました。
船が沈没してしまったら、資産家は投資額をそのままそっくりなくしますが、もし無事に帰ってきたらインドの特産品という莫大な利益を手に入れることができるのです。
このように株式投資の根本というのは価値ある会社・ビジネスに対して出資し、出た利益を貰うということなのです。
株式会社とは?
会社と一言で言っても色々あります。「合資会社」「合名会社」「合同会社」「有限会社」などありますが、株式を発行できるのは株式会社のみです。
株式会社とは何なのかを語る上では株主という存在抜きには語ることができないので、「株式会社サイド」と「株主サイド」のそれぞれのメリット(権利)とデメリット(義務)を理解することで株式会社を理解していきましょう。
まず一覧で株式会社と株主のメリット・デメリットをまとめてみました。
では一つ一つ確認していきましょう。
株式会社サイド
メリット①:資金集めがしやすくなる
会社を立ち上げる時に重要になるのが資金集めです。株式を発行することによって一般の人からも資金を募ることが可能となります。
また、銀行などから借りる資金だと利子がついているのに対して、株式の発行によって得られる資金には利子もありません。3つ目のメリットにもありますが、返済の義務がないために、とても資金集めがしやすくなります。
メリット②:社会的な信用度が高くなる
これも株式会社にする圧倒的なメリットの一つなのですが、一般的に「株式会社〇〇〇〇」という名前がついているだけでその会社の信頼度を高く感じるのではないでしょうか?
このように株式会社という名前が付くだけで社会的に信頼の置ける会社のような印象を与えることができます。
メリット③:集めたお金は返済しなくていい
メリット①で投資家から集めた資金に対しては返済の義務がありません。
ここが銀行から借りるお金との大きな違いで、利子などもありません。
デメリット①:説明責任・情報開示
株式会社になったということは、その会社は運営者のものではなく、株主のものとなります。
ですが、会社運営に関しては株主から委託されており、会社に利益をもたらす責任があります。
ですので運営に対して説明し、情報を開示する機会を設ける義務があります。
デメリット②:株主総会の開催
株主総会というのは、株主を構成員として株式会社の基本的な方針や重要な決定をする機関のことです。
社長が勝手に運営方針を決めることはできず、意思決定権は株主にあります。
株主サイド
メリット①:配当を受けられる
株主はその会社が得た利益を分配してもらう権利(利益配当請求権)を持っています。
これを配当金と言います。利益がない場合は配当金はないですが、会社の方針として「出た利益は配当金に回さずに次の投資に回す!」と決めていたりする場合も配当金はなく、ある意味堅実な会社運営をしていると考えることもできます。
メリット②:会社の議決権を持てる
株式投資をするという方でこの議決権の所持のために株を買っているという人は少ないかと思いますが、株を買うということはその株式会社の議決権を持つことです。
株主は1単元につき1票の投票権を持っており、株主総会で会社の重要事項を多数決で決定します。会社社長や経営陣の任命・解任などもできるので重要な権利と言えます。
メリット③:財産分配を受けられる
ある日会社が潰れたとした時、その会社が持っている総資産から銀行への借金返済・社員への補填などの必要な費用を差し引いて残った資金は会社の持ち主である株主に分配されます。これを残余財産分配請求権と言います。
PBRの記事にも書きましたが、この権利によって場合によっては買った時よりも会社が潰れて戻って来た額が大きくなることもあります。
デメリット①:投資資金がなくなる可能性
これが投資家の最大のデメリットと言えます。
株式会社サイドのメリットにもありましたが、会社は株主から集めたお金を返済する義務を負っていません。
ですので、メリット③にもあったように財産分配を受けることはできるのですが、財務的に財産すら残っていなかった場合は、株券はただの紙切れになってしまう可能性を理解しておかなければなりません。
しかし、仮に会社が債務超過で潰れたとしても、株主は自分たちが出した資金以上の責任を負わなくていいのです。
ですので、良くも悪くも投資資金が0円になる可能性があります。